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エタンブトール内服を契機としたLeber遺伝性視神経症

2017年5月掲載

薬剤 エタンブトール化学療法剤
副作用 Leber遺伝性視神経症
概要 57歳、女性。非結核性抗酸菌症に対する加療中に胸部X線所見の悪化を認め、2011年12月よりエタンブトール(EB)の追加投与が開始された。2012年4月に色覚異常、霧視を自覚し、EB視神経症を疑われ、EB内服を中止された。内服中止後は視力・視野の自覚症状は改善傾向にあったが、同年12月に再び視力低下を自覚した。両眼の視神経乳頭発赤及び中心暗点を認めたため、Leber遺伝性視神経症(LHON)を疑われた。遺伝子検査にてミトコンドリアDNA(mtDNA)11778遺伝子突然変異が検出され、LHONの確定診断に至った。家族にLHON患者はいなかった。

監修者コメント

LHONは急性または亜急性に発症する無痛性の両眼性視神経症であり、母系遺伝形式をとる。若年男性に多く発症し、高度の視力低下と中心暗点を呈する。原因遺伝子はmtDNAであるが、点突然変異を有していても必ず発症するというわけではなく、環境要因が発症の誘因となるといわれている。本症例はEBの内服を契機にLHONを発症した。EBを内服している患者が視力低下をきたした場合、EB視神経症を疑うのはもちろんだが、眼底所見や家族歴の有無にかかわらず、LHONを鑑別疾患の1つとして念頭におく必要がある。

著者(発表者)
加納俊祐ほか
所属施設名
大分大学医学部眼科学講座ほか
表題(演題)
エタンブトール内服を契機に女性に発症したLeber遺伝性視神経症の1例
雑誌名(学会名)
あたらしい眼科 33(12) 1789-1794 (2016.12)

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