ヘパリンカルシウム、フォンダパリヌクスによる腹斜筋内血腫
2017年3月掲載
薬剤 | ヘパリンカルシウム血液・体液用薬 フォンダパリヌクス血液・体液用薬 |
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副作用 | 腹斜筋内血腫 |
概要 | 41才、女性。多発子宮筋腫に対して下腹部正中切開による子宮筋腫核出術を施行、術後鎮痛法として両側の側方腹横筋膜面(TAP)ブロックが行われた。TAPブロックの手技中に明らかな出血は認めなかった。翌日の血液検査において止血凝固能は正常範囲内であり、深部静脈血栓症予防として術後第1病日にヘパリンカルシウム5,000単位が1日2回、第2~5病日にフォンダパリヌクス2.5mgが1日1回それぞれ皮下投与された。術後第3病日から左側腹部に痛みを自覚するようになり、第7病日も痛みは続いていた。腹部超音波検査を施行したところ、痛みの部位に一致した腹斜筋内に低エコー領域を認め、血腫と診断した。第20病日の超音波検査で血腫は消失していた。 |
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本症例における血腫形成の要因としては、術後の静脈血栓塞栓症の予防のために抗凝固療法として投与されたヘパリンカルシウムとフォンダパリヌクスの関与が考えられる。近年、硬膜外鎮痛に代わる鎮痛法として、TAPブロックをはじめとする体幹のブロックが広く行われている。本症例のように抗凝固薬を投与する患者に対して末梢神経ブロックを行う場合は、頻度は少ないものの血腫を合併する可能性があるため注意が必要である。
- 著者(発表者)
- 髙橋深雪ほか
- 所属施設名
- 自治医科大学麻酔科学・集中治療医学講座
- 表題(演題)
- 超音波ガイド下腹横筋膜面ブロック後に腹斜筋内血腫を生じた1症例
- 雑誌名(学会名)
- 麻酔 65(12) 1276-1278 (2016.12)
第33回 日本臨床麻酔学会大会 (2013)
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