セツキシマブによるアナフィラキシー
2017年3月掲載
薬剤 | セツキシマブ腫瘍用薬 |
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副作用 | アナフィラキシー |
概要 | 50才、男性。直腸癌、肝転移、リンパ節転移のため、化学療法後に手術を行う方針となった。クロルフェニラミン、デキサメタゾン、パロノセトロンの前投与後にセツキシマブの初回投与を開始した。数十分後、血圧測定のために看護師が病室を訪れたところ、口から泡を吹き意識消失しており、直ちに心肺蘇生が施されたが、心拍再開することなく、発見から約2時間後に死亡確認された。セツキシマブ投与前の血清中に、WB法にてセツキシマブ特異的IgEが、CAP-FEIA法にて牛肉、ウシサイログロブリン(α-gal)特異的IgEが検出され、牛肉との共通抗原によるアナフィラキシー発症を確認した。 |
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セツキシマブ(アービタックス®)は抗ヒトEGFRモノクローナル抗体製剤であり、EGFR陽性の進行・再発の大腸がんおよび頭頚部がんの治療薬として用いられている。本剤のような生物学的製剤の副作用として、インフュージョンリアクション(急性輸液反応)がしばしば問題となっている。2008年に本剤によるアレルギーの主要原因抗原は糖鎖であるGalactose-α-1,3-galactose(α-gal)であることが明らかになった。牛肉アレルギーの主要原因抗原もα-galであることから、牛肉に対するアレルギー歴のある患者で、本剤によるアナフィラキシーが認められた症例が報告されている。今後もセツキシマブの適応は広がると考えられており、投与の際には牛肉アレルギーの確認が必要であることを示唆する報告である。
- 著者(発表者)
- 鵜沼香奈ほか
- 所属施設名
- 医歯大ほか
- 表題(演題)
- セツキシマブ初回投与後急変し牛肉との共通抗原によるアナフィラキシー発症が明らかになった1剖検例
- 雑誌名(学会名)
- 第85回 日本法医学会学術関東地方集会 講演要旨集 32 (2016)
第85回 日本法医学会学術関東地方集会 (2016.10.29)
監修者コメント