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プロプラノロールによる血圧低下

2017年2月掲載

薬剤 プロプラノロールその他の個々の器官系用医薬品
副作用 血圧低下
概要 2ヵ月、男児。生後4日ごろより耳下腺部に紅斑が出現、2ヵ月ごろには外耳道を塞ぐように隆起・増大し、聴覚障害の可能性が懸念された。皮膚潰瘍を伴っていた既往があり、将来的に醜形を残す可能性があるため、プロプラノロール内服治療の適応と判断された。
入院管理下でプロプラノロール内服を開始し、入院3日目には2.0 mg/kg/日に増量した。その後、収縮期血圧50 mmHg台、拡張期血圧30 mmHg台となる低血圧を繰り返し、ほかに症状はなかったが、内服量を1.5 mg/kg/日に減量した。減量後は低血圧を認めず、導入から10日目に退院し、外来でフォローとなった。1ヵ月ごとにレーザー治療も追加し、1歳で良好な縮小が得られ、内服を中止、1歳2ヵ月現在、増悪なく経過している。

監修者コメント

乳児血管腫は自然消退が期待できる良性血管性腫瘍だが、発症部位によっては早期治療が必要とされる症例もある。2016年7月に日本初の乳児血管腫治療薬としてプロプラノロールシロップ剤(ヘマンジオル®シロップ)が承認された。副作用の報告も少なく安全な薬剤と考えられているが、本文献では同薬剤の内服導入中に血圧低下をきたした症例を報告している。乳幼児に対するプロプラノロールの導入時は、副作用の発現に十分注意し、導入後も慎重な経過観察が必要である。

著者(発表者)
西村恵里子ほか
所属施設名
大阪府立母子保健総合医療センター形成外科
表題(演題)
乳児血管腫に対するプロプラノロール内服導入中に血圧低下をきたした1例
雑誌名(学会名)
日本形成外科学会会誌 36(10) 523-528 (2016.10)
第111回 関西形成外科学会学術集会 (2015.12.5)

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