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アダリムマブによる視神経炎

2017年2月掲載

薬剤 アダリムマブその他の代謝性医薬品
副作用 視神経炎
概要 42歳、女性。13年前に潰瘍性大腸炎(UC)を発症し、以後、寛解、再燃を繰り返していた。2015年2月からアダリムマブ(ADA)による治療が開始され、以後UCの症状は安定したが、4月から右眼痛・霧視が出現し、改善しないため当院紹介受診となった。右眼視力低下や傍中心暗点の出現などを認め、髄液検査陰性、自己抗体陰性であることから多発性硬化症、視神経脊椎炎、自己免疫性視神経炎は否定的であった。ADAによる視神経炎と診断し、ステロイドパルス3クールとパルス間のプレドニン投与により視力改善を認め、傍中心暗点の消失を認めた。

監修者コメント

ADAは炎症性腸疾患や関節リウマチなどの自己免疫性疾患に対して広く使用されているヒト型抗ヒトTNF-αモノクローナル抗体製剤である。TNF-α阻害剤の有害事象として、感染症、悪性腫瘍、自己免疫性疾患などがあるが、頻度は少ないものの多発性硬化症や視神経脊髄炎などの脱髄性疾患も報告されている。本文献では、UCに対するADA治療中に視神経炎を発症した症例を報告している。TNF-α阻害剤投与中に視力低下などの症状を認めた場合には、副作用として視神経炎の可能性も考慮する必要がある。

著者(発表者)
中尾志郎ほか
所属施設名
長崎大学眼科ほか
表題(演題)
Adalimumab投与に伴う視神経炎の1例
雑誌名(学会名)
神経眼科 33(3) 249-253 (2016.9)

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