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チアマゾールによる無顆粒球症

2013年5月掲載

薬剤 チアマゾールホルモン剤(抗ホルモン剤を含む)
副作用 無顆粒球症
概要 50歳代、女性。初診1ヵ月前より体重が4Kg減少したため、当科受診。バセドウ病診断ガイドラインに基づき、「確からしいバセドウ病」と診断した。初診11日後よりチアマゾールの投与を開始した。以後毎週受診し、白血球数、好中球数を検査し、検査結果を確認してからチアマゾールを処方していた。開始64日目でWBC3500/μL、好中球1480/μL 、71日目でWBC2000/μL、好中球340μLに低下した。無顆粒球症の発症を疑い、同日緊急入院し、無菌室に入室した。入院時よりチアマゾールは休薬し、ヨウ化カリウムの投与を開始。消化管の真菌症の予防にアムホテリシンB、ニューモシスチス肺炎予防のためST合剤の服用と、G-CSFの皮下注を開始した。入院4日目には好中球0/μLに減少し、同日より発熱したため、メロペネム点滴、ホスホマイシン点滴、ミカファンギン点滴を開始した。第5病日より38℃台に発熱したが、第7病日には好中球240/μLと回復期になり、第8病日には好中球2860/μLと回復し、第11病日には下熱した。第16病日には退院した。

監修者コメント

バセドウ病の治療薬である抗甲状腺薬のチアマゾールの最も重大な副作用は無顆粒球症である。同薬剤の添付文書では、投与開始後2ヵ月間は2週間毎の白血球数および好中球数の検査が必要としている。しかし本症例のように投与開始後3ヶ月目で発症する症例も稀ではなく、死亡例もあるため、投与開始後3ヵ月間の毎週の検査が無顆粒球症の早期発見の上で有用であると考えられる。

著者(発表者)
中山豊ほか
所属施設名
市立秋田総合病院血液・腎臓内科
表題(演題)
チアマゾールで無顆粒球症をきたしたバセドウ病の1例
雑誌名(学会名)
市立秋田総合病院医誌 22(1) 25-28 (2012)

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