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インフリキシマブによる薬剤性ループス

2017年1月掲載

薬剤 インフリキシマブ消化器官用薬
副作用 薬剤性ループス
概要 44歳、女性。3年前に潰瘍性大腸炎(全結腸炎型)を発症し、ステロイド投与にて寛解導入し、5-ASA製剤(メサラジン)内服にて維持されていた。症状の増悪を認め、当科で入院加療を行う方針となった。下肢の結節性紅斑に対して、投与中のベタメタゾンに加えてプレドニゾロン(PSL)を開始したが、症状の改善が乏しくインフリキシマブを開始し、速やかに寛解導入した。その後、寛解維持目的に8週毎の維持投与を行っていたが、第6回目投与後より倦怠感および微熱が出現し、発熱の持続と炎症所見の上昇を認めた。第7回目投与時に全身に発疹が出現し、投与を中止した。抗核抗体陽転化、抗Ds-DNA抗体陽性を認めたため、膠原病内科に紹介となった。SLE基準を満たしたことにより薬剤誘発性ループスと診断し、PSLの投与を開始したところ、症状および炎症所見は速やかに改善を認め、現在はPSLを漸減している。

監修者コメント

抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤であるインフリキシマブ(レミケード®)は、炎症性腸疾患や関節リウマチの治療薬として広く使用されている。本症例では、重症化した潰瘍性大腸炎に対しインフリキシマブを投与したところ、ds-DNA抗体の陽性化と共に全身の発疹を認め、本薬剤による薬剤誘発性ループスと診断された。頻度は少ないものの、本薬剤の添付文書にも重大な副作用としてループス様症候群が記載されており、薬剤誘発性ループスが疑われる際には、速やかな診断、対応を行う必要がある。

著者(発表者)
姫野愛子ほか
所属施設名
市立貝塚病院
表題(演題)
infliximabによる薬剤性ループス(DILE)を発症した潰瘍性大腸炎の一例
雑誌名(学会名)
日本消化器病学会近畿支部 第105回 例会 プログラム・抄録集 129 (2016)
第105回 日本消化器病学会近畿支部例会 (2016.9.17)

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