エストロゲン・プロゲスチンによる脳梗塞
2016年12月掲載
薬剤 | ノルエチステロン・エチニルエストラジオールホルモン剤(抗ホルモン剤を含む) ノルエチステロン・メストラノールホルモン剤(抗ホルモン剤を含む) |
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副作用 | 脳梗塞 |
概要 | 39歳、女性。未経妊、未経産。月経痛、月経不順を主訴に来院し、月経困難症、黄体機能不全の診断で、ホルモン製剤(ノルエチステロン・エチニルエストラジオール配合錠、ノルエチステロン・メストラノール錠)の内服を開始した。内服開始2ヵ月後、上肢の痺れと呂律障害を自覚し、当院を受診した。画像診断にてアテローム性血栓性脳梗塞を認めた。若年性脳梗塞スクリーニングは陰性であり、低用量エストロゲン・プロゲスチン(LEP)製剤がリスクとして関与した可能性が高く、内服を中止した。後に、本人に未告知の脳梗塞の既往が判明した。保存的治療にて明らかな後遺症を認めず退院した。 |
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月経困難症治療剤であるLEP製剤(ルナベル®配合錠)の内服が誘因と考えられた動脈血栓性脳梗塞の1例である。女性ホルモン製剤による静脈血栓塞栓症のリスクは良く知られているが、動脈血栓症の報告は稀である。ガイドラインでは、脳血管障害の既往がある場合、LEP製剤の内服は禁忌とされているが、本症例においても、本人に未告知の脳梗塞の既往がリスク因子になったと考えられる。LEP製剤を処方する際には、血栓症発症のリスクの有無を把握することや、内服による血栓症の発症リスクを十分に説明することが重要である。
- 著者(発表者)
- 山口瞳ほか
- 所属施設名
- 三井記念病院産婦人科
- 表題(演題)
- 低用量エストロゲン・プロゲスチン製剤服用中に脳梗塞をきたした1例
- 雑誌名(学会名)
- 東京産科婦人科学会会誌 65(3) 483-487 (2016.7)
第377回 東京産科婦人科学会例会
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