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子宮頸がん予防ワクチンによる急性肝障害

2013年4月掲載

薬剤 子宮頸がん予防ワクチン生物学的製剤
副作用 急性肝障害
概要 16歳、女性。子宮頸がん予防ワクチン(サーバリックス®)接種5日後に発熱、頭痛が出現し、翌日夜間に頻回嘔吐を来たし救急外来を受診した。LDH3004IU/L、AST3372IU/L、ALT2661IU/L、PT61%と高度肝機能障害を認め直ちに入院した。点滴輸液にて保存的に治療を開始し、第8病日に肝機能障害は消失し、第10病日に退院した。同薬に対するDLSTは陽性、DDW-J2004薬物性肝障害ワークショップスコアリング8点で、同薬による薬剤性肝障害と判定した。

監修者コメント

子宮頸がん予防ワクチン(サーバリックス®)接種5日後から発熱、頭痛、嘔吐と共に高度肝機能障害を認めた一例である。臨床経過やDLSTが陽性であったことから、本ワクチンが原因であると考えられた。添付文書、使用上の注意によれば、接種後の全身性副反応として、疲労、筋痛、頭痛、胃腸症状、関節痛、発疹、発熱、蕁麻疹などが5%~35%程度認められており、副作用の発現が比較的多い。本症例は保存的治療により比較的順調に回復した症例であるが、今後、子宮頸がん予防ワクチンは広く普及することが予想され、副作用としての薬剤性肝機能障害に注意する必要がある。

著者(発表者)
正月泰士ほか
所属施設名
国立病院機構別府医療センター消化器内科ほか
表題(演題)
若年女性に発症した急性肝障害の1例
雑誌名(学会名)
第300回 日本内科学会九州地方会 56 (2013)
第300回 日本内科学会九州地方会 (2013.1.12)

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