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フェンタニルによる接触皮膚炎症候群

2013年4月掲載

薬剤 フェンタニル非アルカロイド系麻薬
副作用 接触皮膚炎症候群
概要 60歳、男性。中咽頭癌の癌性疼痛に対し、フェンタニルパッチ貼付を開始、2.5mgから7.5mgまで増量し継続していたところ、開始45日目に体幹前面パッチ貼付部位に一致して紅斑が出現した。また、過去の貼付部位にも一致して発赤が出現していた。疼痛コントロールが良好であったため同パッチの貼付を継続したが、体幹、四肢に播種状に紅斑が出現したため同剤の貼付を中止した。内服困難であったためベタメタゾン筋注4mgを3日間、2mgを3日間施行し皮疹は軽快した。as isパッチテストは陽性と考えられたが、主成分の規制のため成分によるパッチテストおよびDLSTは実施できなかった。主成分フリーの基剤でパッチテストを施行したところ陰性であったため、フェンタニルによる接触皮膚炎と診断した。また、本剤の過去の貼付部位のほか、汎発性に散布疹がみられ、接触皮膚炎症候群に該当すると考えた。

監修者コメント

合成オピオイドであるフェンタニルによる接触皮膚炎および接触皮膚炎症候群の報告は少なく稀である。接触皮膚炎症候群とは、接触皮膚炎を起因として、接触局所のアレルギー性接触皮膚炎だけではなく、パッチテスト部の再燃現象や汎発性の散布疹、貨幣状湿疹、多形紅斑、血管炎など全身性に拡大するものである。なお、本剤の添付文書には貼付部位の温度上昇(外部熱源、入浴、発熱など)により、吸収量が急増して危険であると警告されているほか、最近新たに、貼付部位が他者(特に小児)に接触したり付着したりしないよう注意が喚起されたので留意すべきである。

著者(発表者)
薬師寺直喜ほか
所属施設名
市立宇和島病院皮膚科ほか
表題(演題)
デュロテップパッチによる接触皮膚炎症候群の1例
雑誌名(学会名)
臨床皮膚科 67(1) 12-16 (2013.1)
第40回 日本皮膚科学会愛媛地方会

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