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バラシクロビルによる脳症

2016年10月掲載

薬剤 バラシクロビル化学療法剤
副作用 脳症
概要 81歳、女性。高血圧、サルコイドーシス、慢性腎不全で透析中であった。右胸背部に出現した皮疹に対して帯状疱疹と診断され、バラシクロビルの内服が開始された。3日後より見当識障害、歩行障害が出現し、救急搬送された。意識障害、および下肢優先の左右対称の安静時ミオクローヌスを認めた。脳波検査で周期性同期生放電(PSDs)を認め、経過と所見よりバラシクロビルによる薬剤性脳症と診断した。保存的加療にて意識レベルは改善し、脳波所見も軽快した。

監修者コメント

バラシクロビル(バルトレックス®)は、単純疱疹や帯状疱疹などのヘルペスウイルス感染症に対する治療薬として使用されている。本症例では、帯状疱疹に対してバラシクロビルを投与したところ、意識障害、安静時ミオクローヌスおよび脳波検査でPSDsを認め、同薬剤による薬剤性脳症と診断された。本薬剤によりPSDsを認めた報告はこれまでになく、稀な症例といえる。本薬剤を特に高齢者や腎機能障害を認める患者に投与する際には、PSDsを伴う薬剤性脳症の副作用に注意する必要がある。

著者(発表者)
中谷光良ほか
所属施設名
京都大学医学部医学科臨床神経学ほか
表題(演題)
バラシクロビルによる一過性の周期性同期性放電を伴う薬剤性脳症をきたした高齢者例
雑誌名(学会名)
臨床神経学 56(7) 504-507 (2016.7)

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