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肺炎球菌ワクチンによる全身性炎症反応

2016年8月掲載

薬剤 肺炎球菌ワクチン生物学的製剤
副作用 全身性炎症反応
概要 74歳、男性。全身性エリテマトーデスのためステロイドとアザチオプリンなどを服用中であった。近医で肺炎球菌ワクチンの初回接種を行った。翌日より倦怠感を認め、接種2日後に動けなくなり当院へ緊急搬送された。39℃台の発熱と末梢血管拡張を伴うショック状態であった。ワクチン接種部は著しく腫脹し疼痛を伴っていた。敗血症性ショックを疑い治療を開始したが、循環動態の維持に難渋した。AN69ST CHDF導入を契機に徐々に改善傾向となった。感染巣として明らかなものは指摘できず、肺炎球菌ワクチン接種に伴う全身性炎症反応と考えられた。

監修者コメント

肺炎球菌ワクチンは、肺炎球菌による肺炎などの感染症を予防し、重症化を防ぐため、65歳以上の高齢者を中心に広く接種が行われている。肺炎球菌ワクチン接種によって重篤な副作用を起こすことは少ないとされているが、本症例では、敗血症様の全身性炎症反応を発症した。特に、本症例のように免疫抑制剤投与中あるいは免疫抑制状態にある患者に対しては、有効性の観点だけでなく、重篤な副作用についても注意する必要がある。 

著者(発表者)
渡辺隆明ほか
所属施設名
公立昭和病院救命救急センター
表題(演題)
肺炎球菌ワクチン接種後に敗血症性ショック様の全身性炎症反応を呈した1症例
雑誌名(学会名)
日本臨床救急医学会雑誌 19(2) 343 (2016.4)
第19回 日本臨床救急医学会総会・学術集会 (2016.5.12-14)

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