シスプラチン、イリノテカンによる動脈塞栓症
2016年8月掲載
薬剤 | シスプラチン腫瘍用薬 イリノテカン腫瘍用薬 |
---|---|
副作用 | 下肢急性動脈塞栓症 |
概要 | 69歳、男性。下肢脱力を主訴に近医受診し、肺癌と転移性脳腫瘍の疑いで当科紹介となった。大細胞神経内分泌癌、cT1bN0M1b(BRA)、StageⅣと診断し、脳転移に対して定位放射線手術を施行後、化学療法目的で入院となった。シスプラチンとイリノテカンを投与後、第8病日に突然右下肢全体の激痛と脱力を訴え、下肢動脈造影CTにて右総大腿動脈の閉塞を認め、右下肢急性動脈閉塞症と診断した。経皮的血栓除去術を施行後に症状は改善し、抗凝固療法により後遺症・再発なく経過している。 |
---|
一般的に塞栓症の原因としては、心房細動などの心原性が多いが、本症例は心疾患を有しておらず、進行癌による凝固能亢進状態やシスプラチン投与の影響、喫煙による動脈硬化などにより塞栓症を発症したと考えられた。悪性腫瘍を有する患者において、特にプラチナ製剤を含む化学療法施行中は、稀ではあるが、本症例のように四肢急性動脈塞栓症を来たす可能性があり、迅速な診断、加療が必要である。
- 著者(発表者)
- 田中健太郎ほか
- 所属施設名
- 小牧市民病院呼吸器内科
- 表題(演題)
- 肺癌化学療法中に下肢急性動脈塞栓症を発症した1例
- 雑誌名(学会名)
- 癌と化学療法 43(5) 613-615 (2016.5)
監修者コメント