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トリアムシノロンアセトニドによるアナフィラキシー

2016年6月掲載

薬剤 トリアムシノロンアセトニドホルモン剤(抗ホルモン剤を含む)
副作用 アナフィラキシー
概要 72歳、女性。両側難聴、好酸球性中耳炎の診断にて、ケナコルトA®による治療を行っていた。69歳時から左側の鼓室内に肉芽を認めたため、右側は鼓室内注入、左側は鼓室肉芽内注入により耳漏はコントロールされていた。その後、右側は鼓室内に0.1mL注入、左側は鼓室肉芽内に0.1mLを注入したところ、数分後より嘔気、呼吸困難、意識消失発作、下肢脱力、上肢の発疹を認めた。アナフィラキシーの診断で入院治療を行い、数時間で消失したため退院となった。なお、ケナコルトA®の添加物として含有されているベンジルアルコールがアナフィラキシーを誘発したとも推測される。

監修者コメント

合成ステロイド剤であるトリアムシノロンアセトニドを主成分とするケナコルトA®は、関節リウマチをはじめ、多くの疾患で日常的に用いられている。本症例では、難治性中耳炎である好酸球性中耳炎に対してケナコルトA®を鼓室内注入したところ、アナフィラキシーを発症した。一般的に本薬剤は安全性が高く、多剤にアレルギーを有する患者に対しても安全に使用できる製剤であると考えられているが、本症例のようにアナフィラキシーを発症することもあるため、注意が必要である。

著者(発表者)
湯田惠子ほか
所属施設名
西横浜国際総合病院耳鼻咽喉科ほか
表題(演題)
ケナコルトA®の鼓室内注入によりアナフィラキシーを起こした好酸球性中耳炎の一例
雑誌名(学会名)
Otology Japan 26(1) 1-6 (2016.2)
第24回 日本耳科学会総会・学術講演会

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