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アロプリノールによる薬剤性過敏症症候群、劇症1型糖尿病

2016年4月掲載

薬剤 アロプリノールその他の代謝性医薬品
副作用 薬剤性過敏症症候群、劇症1型糖尿病
概要 78歳、女性。アロプリノール処方1ヵ月後に全身倦怠感、食欲低下、両大腿に皮疹が出現し、精査目的で入院した。入院後に発熱しメロペネムを使用したが、2日後に左前腕に紅斑様の皮疹が出現し、薬疹を疑い全ての薬剤を中止。プレドニゾロン20mgを開始した。薬剤性過敏症症候群(DIHS)を疑い、ステロイドパルス療法後プレドニゾロン40mg内服を継続した。HHV-6IgG 5120倍(3週間前20倍)と上昇したためDIHSと診断した。退院1ヵ月後に劇症1型糖尿病を発症し加療後、ウイルス性脳炎後に多臓器不全を来たし永眠された。

監修者コメント

DIHSは特定の薬剤により生じる高熱と肝・腎障害などの臓器障害を伴う重症型薬疹である。HHV-6の再活性化が関与しているとされ、原因薬剤としては、抗けいれん薬やアロプリノールなどが報告されている。本症例では、高尿酸血症に対して処方されたアロプリノール(ザイロリック®)の内服開始後にDIHSを発症し、寛解後に劇症1型糖尿病を合併した。DIHS寛解後の劇症1型糖尿病は、頻度は少ないものの、発症に至った場合は急速な経過をとり、予後不良であるため、口渇、消化器症状、倦怠感などの初期症状を認めた場合は、迅速に診断し、適切な治療を行う必要がある。

著者(発表者)
三橋達郎ほか
所属施設名
青森県立中央病院内分泌内科ほか
表題(演題)
アロプリノールによる薬剤性過敏症症候群後、劇症1型糖尿病を発症した1例
雑誌名(学会名)
糖尿病 58(12) 868-873 (2015.12)

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