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レボフロキサシン点眼液による薬剤性肺障害

2015年12月掲載

薬剤 レボフロキサシン感覚器官用薬
副作用 薬剤性肺障害
概要 78歳、男性。眼科領域周術期の無菌化療法のためレボフロキサシン(LVFX)点眼を開始され、第2病日に白内障手術が行われた。第3病日より発熱が出現し、急速な呼吸不全も出現した。肝障害や腎障害も合併し、肺炎像もみられ、敗血症性ショックによる臓器不全も疑われたため、人工呼吸管理、持続血液濾過透析などとともに抗生物質投与が開始された。全身管理後、腎障害やショックは改善傾向となったが、発熱や炎症反応は改善しなかった。抗菌薬反応は乏しく、気管支肺胞洗浄でのリンパ球増加、LVFX注射による肝障害の増悪、DLSTにおけるLVFX 陽性により、LVFXによる薬剤性肺障害と診断した。原因薬剤の中止とステロイドにて発熱や炎症反応は改善した。

監修者コメント

LVFX(クラビット®)は最も広く使用されているニューキノロン系抗菌薬の一つである。本症例では、基礎疾患のない患者に対して使用したLVFX点眼薬により、薬剤性肺障害および敗血症性ショックによる臓器不全を発症した。LVFXによる薬剤性肺障害の報告は少なく、さらに点眼薬による臓器障害は極めて稀である。LVFXのような頻繁に使用されている薬剤においても、本症例のような重篤な副作用を発症する可能性があることを認識する必要がある。

著者(発表者)
細萱直希
所属施設名
山梨大学第2内科
表題(演題)
基礎疾患のない患者に発症したLVFX点眼液による薬剤性肺障害の一例
雑誌名(学会名)
第64回 日本感染症学会東日本地方会学術集会 第62回 日本化学療法学会東日本支部総会合同学会 プログラム・抄録集 148 (2015)
第64回 日本感染症学会東日本地方会学術集会 (2015.10.21-23)
第62回 日本化学療法学会東日本支部総会 (2015.10.21-23)

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