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フルコナゾールによる完全房室ブロック

2015年12月掲載

薬剤 フルコナゾール化学療法剤
副作用 完全房室ブロック
概要 83歳、男性。肺クリプトコッカス症でフルコナゾールの内服が開始された。めまいを自覚、脈拍数が30台であり、当院緊急搬送。心電図にて心拍数25回/分の完全房室ブロックであり、高カリウム血症を認めた。緊急で体外式ペーシングを開始し、その際に行った冠動脈造影では房室ブロックの原因となる病変を認めなかった。抗真菌薬の内服を中止、カリウム補正を行い、1度房室ブロックへと改善し、体外式ペーシングは第7病日に抜去した。電気生理検査にてヒス束以下のブロックとアトロピン負荷による伝導遅延を認め、ペースメーカー埋込みを施行した。その後、ボリコナゾールを開始すると再び高度房室ブロックが出現し、ペースメーカー埋込みの正当性が示された。

監修者コメント

抗真菌薬であるフルコナゾール(ジフルカン®)はカンジダ症やクリプトコッカス症の治療薬として用いられている。本症例では、肺クリプトコッカス症に対してフルコナゾールを投与したところ、高カリウム血症および完全房室ブロックを認め、ペースメーカー埋込みを行った。フルコナゾールの添付文書にも重大な副作用として高カリウム血症や房室ブロックが記載されている。抗真菌剤による完全房室ブロックは稀であるが、同薬剤の内服中にめまいや徐脈などの症状を認めた場合には、房室ブロックの副作用を念頭に置き、適切に対処する必要がある。

著者(発表者)
早野駿佑ほか
所属施設名
NHO高崎総合医療センター循環器内科ほか
表題(演題)
完全房室ブロックの原因として抗真菌薬の副作用が疑われ、ペースメーカー植え込みの判断にEPSが有効であった一例
雑誌名(学会名)
第69回 国立病院総合医学会 抄録集 O-25-5 (2015)
第69回 国立病院総合医学会 (2015.10.2-3)

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