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レナリドミドによる移植片対宿主病

2015年11月掲載

薬剤 レナリドミド腫瘍用薬
副作用 移植片対宿主病
概要 症例1:46歳、男性。自家幹細胞移植後再発し、新規薬剤に抵抗性かつ高度の輸血依存であることより、同種移植の適応と判断した。臍帯血移植(CBT)を施行し、GVHD予防はタクロリムス、メトトレキサートで行った。再発高リスクであり、免疫抑制剤を中止し、レナリドミドの維持療法を開始した。開始より1週間以内に皮疹、嘔気、下痢を認め、急性移植片対宿主病(GVHD)の発症と考え、レナリドミドを中断したところ改善した。その後、レナリドミドを再開し、以後6サイクルまで継続可能で、4サイクル以後はGVHDの発症は認めなかった。
症例2:53歳、男性。自家幹細胞移植後再発し、新規薬剤に抵抗性かつ多剤併用化学療法にも抵抗性であることより、同種移植の適応と判断した。非血縁者間骨髄移植を施行し、GVHD予防はタクロリムス、メトトレキサートで行った。Grade2のGVHDを認めたが、PSL投与により軽快した。レナリドミドの維持療法を開始したところ、口内炎、皮疹を認め、慢性GVHDと判断し、レナリドミドを中止することにより改善を認めた。

監修者コメント

多発性骨髄腫に対する同種移植は長期生存が期待出来る一方で、治療関連死亡のリスクや移植後の再発などが問題となっている。本文献では、同種移植後に維持療法としてレナリドミドの投与を行い、GVHDを発症した2例を報告している。レナリドミド維持療法はGVHD発症のリスクを伴うものの、直接の抗腫瘍効果とともに残存腫瘍に対する免疫反応の誘導も期待され、安全性および有効性の確立のために臨床試験を含めた症例の蓄積が重要である。

著者(発表者)
塚田信弘ほか
所属施設名
日本赤十字社医療センター血液内科
表題(演題)
同種移植後レナリドミド維持療法により移植片対宿主病が誘導されたと考えられた再発治療抵抗性多発性骨髄腫
雑誌名(学会名)
臨床血液 56(7) 895-900 (2015.7)

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