アダリムマブによるループス
2015年11月掲載
薬剤 | アダリムマブその他の代謝性医薬品 |
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副作用 | ループス |
概要 | 37歳、男性。尋常性乾癬と診断され、外用で治療していた。日光皮膚炎をきっかけに紅皮症になり、アダリムマブ(ADA)による治療を開始した。投与32回目頃から乾癬の皮疹が悪化し、手指関節・膝関節痛が出現した。ADA投与前陰性であった抗核抗体が1,280倍、抗dsDNA抗体が39IU/mLと上昇し、関節症状と併せ薬剤誘発性ループスと考えADAを中止した。関節痛により一時歩行困難であったが、ADA中止後より徐々に改善していった。ADA中止から10週後ウステキヌマブへ変更し、15カ月後に関節症状は消失した。 |
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ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤であるADA(ヒュミラ®)は、関節リウマチや尋常性乾癬などの治療薬として広く使用されている。本症例では、尋常性乾癬に対してADAを投与したところ、関節痛が出現し、抗核抗体と抗dsDNA抗体の上昇を認めたことから、ADAによる薬剤誘発性ループスと診断されている。乾癬患者におけるTNF阻害薬の使用は今後も増加することが予想される。薬剤誘発性ループスは稀な副作用であるが、TNF阻害薬使用中に関節痛などが認められた場合は、本副作用を念頭に置く必要がある。
- 著者(発表者)
- 忍田陽香ほか
- 所属施設名
- 東京慈恵会医科大学葛飾医療センター皮膚科ほか
- 表題(演題)
- アダリムマブ投与中の尋常性乾癬患者に出現した薬剤誘発性ループスの1例
- 雑誌名(学会名)
- 臨床皮膚科 69(9) 638-642 (2015.8)
第28回 日本乾癬学会学術大会
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