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アセトアミノフェンによる中毒性表皮壊死症

2013年1月掲載

薬剤 アセトアミノフェン中枢神経用薬
副作用 中毒性表皮壊死症
概要 6歳、男児。発熱、胸背部に小丘疹発現、2日目にセフジトレンピボキシル(メイアクト)およびアセトアミノフェン(カロナール)が処方され、1回内服後、午後から体温40℃に上昇、全身発赤、口唇・眼瞼腫脹が出現したため、当科入院。全身状態悪化、口腔粘膜も発赤し、水疱伴う皮疹が上半身に散在、肛門周囲・亀頭部にも発赤を認め、外見正常な皮膚でNikolsky現象を認めた。第3病日からプレドニゾロン2.5mg/kg/日、ホスホマイシン、アシクロビル点滴静注で治療を開始したが、水疱・表皮剥離が急速に拡大し、第5病日には全身の10%以上に達しTENと診断した。同日よりステロイドパルス療法1クール(30mg/kg/日×3日間)を施行した。表皮剥離はさらに進行し、第11病日よりガンマグロブリン1g/kg/日を2日間投与、皮膚病変は第15病日に体表面積の60%に拡大したが、その後徐々に上皮化が見られた。プレドニゾロン1.5mg/kg/日を後療法として投与、第26病日から漸減し、第33病日には中止しえた。退院時には視力が両眼とも0.6に低下し、羞明が残った。今回検索しえたウイルス抗体価は全て陰性または既感染パターンであり、マイコプラズマIgMも陰性であったが、ウイルス等の先行感染を完全には否定し得ない。DLST検査のS.I.でメイアクト細粒163%、カロナール細粒の331%で、アセトアミノフェンによるTENと診断した。

監修者コメント

著者は、アセトアミノフェンは小児科領域で比較的安全性が高い解熱剤として頻用されているが、TENのような重篤皮膚障害の原因となりうるので十分な注意が必要であるとしている。なお、本剤の添付文書の使用上の注意には、重大な副作用の2項目に、中毒性表皮壊死融解症(TEN)、皮膚粘膜眼症候群(SJS)、急性汎発性発疹性膿疱症があらわれることがあるとの注意が喚起されている。

著者(発表者)
伊佐早ゆかりほか
所属施設名
順天堂大学医学部付属浦安病院小児科ほか
表題(演題)
アセトアミノフェンによる中毒性表皮壊死症の1小児例
雑誌名(学会名)
日本小児皮膚科学会雑誌 31(3) 巻頭カラーページ2+177-180 (2012.10)
第34回 日本小児皮膚科学会 (2010.7)

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