ラミブジンによる横紋筋融解症
2015年10月掲載
薬剤 | ラミブジン化学療法剤 |
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副作用 | 横紋筋融解症 |
概要 | 50歳、男性。B型慢性肝炎、脂質異常症、腎硬化症、高血圧、痛風で近医に通院していたが、抗ウイルス療法は施行されていなかった。肝機能障害の悪化、全身倦怠感が出現したため、当科入院となった。B型慢性肝炎急性増悪と診断され、エンテカビルを内服開始したが、腎機能障害の悪化を認めたため、ラミブジン投与に変更した。15日後にASTの上昇、下肢の鈍痛、著明なCK、ミオグロビンの上昇を認め、横紋筋融解症と診断された。診断後、速やかなラミブジンの休薬と輸液療法で急性腎不全に陥ることなく、退院が可能となった。 |
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横紋筋融解症は、外傷、脱水、薬剤などの様々な要因で発症し、重症の場合は急性腎不全に進展し、致死的となることもある。薬剤性では、HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン系)やフィブラート系薬によるものが多く報告されているが、本症例のようなラミブジンの投与による横紋筋融解症は稀である。B型慢性肝炎急性増悪時に横紋筋融解症が合併した際は予後不良となるため、ラミブジン内服後にもかかわらずASTの上昇などが認められた際には、横紋筋融解症を念頭におき、適切な対処を行う必要がある。
- 著者(発表者)
- 林秀美ほか
- 所属施設名
- 旭川赤十字病院消化器内科ほか
- 表題(演題)
- 保存的治療にて救命し得たラミブジン誘発横紋筋融解症合併B型慢性肝炎急性増悪の1例
- 雑誌名(学会名)
- 肝臓 56(7) 341-347 (2015.7)
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