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アバタセプトによる頭蓋内侵襲性アスペルギルス症

2015年10月掲載

薬剤 アバタセプトその他の代謝性医薬品
副作用 頭蓋内侵襲性アスペルギルス症
概要 84歳、男性。関節リウマチ(RA)と診断され、スルファサラジンとプレドニゾロン(PSL)で加療されたが、効果不十分なため当院受診となり、PSL増量とアバタセプトの投与を行った。その後もRAコントロールは不良であった。その後、右眼視力低下、頭痛が出現し、眼科を受診したところ、右眼窩先端部腫瘍が疑われた。鼻内内視鏡下生検を施行し、各種培養・細胞診を行った結果、侵襲性アスペルギルス症による眼窩尖端症候群の診断に至った。アバタセプトを中止し、ボリコナゾールの投与を開始したところ、頭痛は消失したが、右眼の視力は改善しなかった。

監修者コメント

アバタセプト(オレンシア®)はT細胞の活性化を阻害することで炎症を抑制する生物学的製剤であり、RAの治療に用いられている。 本症例では、高齢発症の治療抵抗性RAに対してアバタセプトを投与したところ、頭蓋内侵襲性アスペルギルス症による眼窩尖端部症候群を発症した。高齢発症のRAの治療に生物学的製剤を使用する際には、免疫が抑制されるため、本症例のような真菌感染を含めた感染症の発症に十分に注意する必要がある。

著者(発表者)
杉山隆広ほか
所属施設名
済生会習志野病院内科
表題(演題)
生物学的製剤投与中に頭蓋内侵襲性アスペルギルス症を発症した高齢発症関節リウマチの1例
雑誌名(学会名)
第616回 日本内科学会関東地方会 35 (2015)
第616回 日本内科学会関東地方会 (2015.7.19)

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