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レボフロキサシンによる肝障害

2015年9月掲載

薬剤 レボフロキサシン化学療法剤
副作用 肝障害
概要 62歳、男性。皮膚黄染、発熱を主訴に受診。T-Bil13.2mg/dL、AST325IU/L、ALT325IU/L、ALP1354IU/L、WBC35300/μL、Eos26300/μLであった。腹部エコー、単純CTで肝腫瘤性病変を認め、急性肝障害、びまん性白血病細胞浸潤などが考えられた。また、高度の好酸球増多を伴い、受診前に鯉を生食していたため、寄生虫感染症を疑ったが、抗体検査は陰性であった。受診前の1カ月間、複数の感冒薬と抗生剤を内服していた。肝腫瘤生検では好酸球、形質細胞等多彩な細胞浸潤を認め、腫瘍性疾患を積極的に示唆する所見はなかった。DLSTでレボフロキサシンが陽性となり、レボフロキサシンを原因とする薬物性肝障害と診断した。レボフロキサシンの中止、敗血症治療を行い、約2カ月後にWBC、Eosは正常化、約3カ月後に肝機能もほぼ正常化した。

監修者コメント

レボフロキサシン(クラビット®)はニューキノロン系の抗菌薬であり、呼吸器感染症などの治療に広く使用されている。本症例は、レボフロキサシンの内服により高度の好酸球増多を伴った薬物性肝障害を認めた一例である。高度の好酸球増多を認める場合、寄生虫感染症などとの鑑別が困難となるが、レボフロキサシンなどの薬剤でも高度の好酸球増多を伴う肝障害を合併する可能性があることに注意する必要がある。

著者(発表者)
谷本治子ほか
所属施設名
小倉記念病院
表題(演題)
高度の好酸球増多を伴った薬物性肝障害の1例
雑誌名(学会名)
第105回 日本消化器病学会九州支部例会 第99回 日本消化器内視鏡学会九州支部例会 プログラム・抄録集 96 (2015)
第105回 日本消化器病学会九州支部例会 第99回 日本消化器内視鏡学会九州支部例会 (2015.6.19-20)

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