メチルエルゴメトリンマレイン酸塩、エルゴタミン酒石酸塩による無菌性髄膜炎
2015年9月掲載
薬剤 | メチルエルゴメトリンマレイン酸塩泌尿生殖器官及び肛門用薬 エルゴタミン酒石酸塩中枢神経用薬 |
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副作用 | 無菌性髄膜炎 |
概要 | 29歳、女性。流産による子宮内容除去術を受け、セフォチアムヘキセチル塩酸塩およびメチルエルゴメトリンマレイン酸塩を処方された。3日目の朝から発熱、頭痛、嘔気が出現し、翌日、無菌性髄膜炎の診断で当院に入院した。安静、輸液のみにて症状は速やかに改善し、8日後に退院した。2年後にクリアミン®(エルゴタミン酒石酸塩/カフェイン/イソプロピルアンチピリン配合錠)を1錠服用したところ、頭痛が出現し、翌日には発熱、頭痛も悪化し、無菌性髄膜炎にて入院した。輸液のみで保存的に経過観察したところ、症状は速やかに改善し、退院した。DLSTを行ったところ、エルゴタミン酒石酸塩のStimulation Indexは105%と正常であったが、メチルエルゴメトリンマレイン酸塩は180%と軽度の上昇を示した。 |
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薬剤性髄膜炎は稀な無菌性髄膜炎であり、原因薬剤としては、イブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)によるものが多く報告されている。本症例では、子宮収縮剤であるメチルエルゴメトリンならびに片頭痛治療薬であるエルゴタミン酒石酸塩の投与により2度にわたり無菌性髄膜炎を発症した。これまでにこれらの麦角剤による薬剤性無菌性髄膜炎の報告はなく、示唆に富む症例といえる。
- 著者(発表者)
- 小川朋子ほか
- 所属施設名
- 国際医療福祉大学病院神経内科
- 表題(演題)
- 麦角剤による薬剤性無菌性髄膜炎の1例
- 雑誌名(学会名)
- 臨床神経学 55(6) 421-423 (2015.6)
第208回 日本神経学会関東・甲信越地方会
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