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ボルテゾミブによる急性腎不全

2015年9月掲載

薬剤 ボルテゾミブ腫瘍用薬
副作用 急性腎不全
概要 72歳、女性。IgG-κ型の症候性多発性骨髄腫と診断し、ボルテゾミブ(BOR)、メルファラン、プレドニゾロンによるVMP療法(BOR週1回投与)を開始した。採血検査で腎障害、カルシウムや尿酸の異常はなく、1.5g/gCrの蛋白尿を認めたが、Bence-Jones蛋白陰性であった。21日後の投与後にクレアチニン(Cr)が1.50mg/dLまで上昇し、35日後には腎不全症状が出現して入院した。入院時のCr11.77mg/dL、FENa32.68%、尿β2MG63629.0㎍/L、尿沈渣では顆粒円柱陽性で尿細管壊死による急性腎性腎障害と診断した。血液透析を含む腎不全治療を行い、5日で透析離脱し、Cr2.01mg/mLとなった。

監修者コメント

ボルテゾミブ(BOR)、メルファラン、プレドニゾロンによるVMP療法は腎障害のある初発多発性骨髄腫患者に対して、安全かつ有効な治療法として行われている。本症例では、腎機能が正常な初発多発性骨髄腫患者に対してVMP療法を行ったところ、BOR投与後に透析を必要とする急性腎性腎障害を発症した。頻度は少ないものの、本症例のようにBORの投与により腎障害を発症することがあるため、特に糖尿病、高血圧の合併例や脱水、腎毒性のある薬剤と併用する場合には、慎重に経過を観察する必要がある。

著者(発表者)
奥田慎也ほか
所属施設名
JR東京総合病院血液・腫瘍内科
表題(演題)
ボルテゾミブ投与後に発症した透析療法が必要であった急性腎不全
雑誌名(学会名)
交通医学 69(1-2) 32 (2015.3)
第69回 日本交通医学会総会 (2015.5.30-31)

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