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オルメサルタンによるスプルー様腸疾患

2015年9月掲載

薬剤 オルメサルタン循環器官用剤
副作用 スプルー様腸疾患
概要 60歳代、女性。1日10回程度の水様下痢があり、近医に入院した。絶食で下痢は改善したが、食事再開で増悪したため、精査目的で当院へ転送された。十二指腸に萎縮、多発小隆起を認め、生検では絨毛短縮、炎症細胞浸潤を認めた。小腸粘膜は全体的に委縮し、小隆起が散在し、生検では十二指腸と同様であった。Celiac病を疑ったが、否定的であった。オルメサルタンを約4年半前から内服しており、オルメサルタン関連スプルー様腸疾患も鑑別に挙がった。グルテンフリー食を開始し、膵癌術後に普通食にしたが下痢は認めなかった。十二指腸、小腸の異常は改善し、生検組織も異常はなかった。以上よりオルメサルタン関連スプルー様腸疾患と診断した。

監修者コメント

オルメサルタン(オルメテック®)はアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)に分類される降圧剤である。主に米国において、同薬剤の長期投与により、重度の下痢を症状とするスプルー様腸疾患が報告され、本邦でも添付文書の使用上の注意が改訂されている。本症例においても、オルメサルタンの長期投与後、重度の下痢と十二指腸から小腸にかけて絨毛短縮と炎症細胞浸潤を認め、同薬剤の中止により改善したことから、オルメサルタン関連スプルー様腸疾患と診断されている。オルメサルタンの投与中に重度の慢性下痢や体重減少などが認められた場合は、本疾患を念頭におく必要がある。

著者(発表者)
福島政司ほか
所属施設名
神戸市立医療センター中央市民病院消化器内科ほか
表題(演題)
オルメサルタン関連スプルー様腸疾患の1例
雑誌名(学会名)
日本消化器内視鏡学会近畿支部 第94回 支部例会 プログラム・抄録集 99 (2015)
第94回 日本消化器内視鏡学会近畿支部例会 (2015.6.20)

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