インターフェロンベータによる心房細動
2015年9月掲載
薬剤 | インターフェロンベータ生物学的製剤 |
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副作用 | 心房細動 |
概要 | 58歳、男性。幼少期より左踵に黒色斑があり、徐々に拡大した。当科初診時、濃淡不整の黒色調局面、病変中央は軽度隆起し、悪性黒色腫が疑われた。術前にインターフェロン(IFN)βの局注療法を2日間行った。2週間後に切除とセンチネルリンパ節生検を行い、悪性黒色腫と診断した。術後補助療法として2週間おきにIFNβの投与を開始した。3回目の投与時、帰宅中に動悸を自覚、高血圧でかかりつけの医師より不整脈を指摘された。4回目の投与時、局注直後より動悸、冷汗がみられ、心電図で心房細動を認めた。症状、心電図異常ともに1時間後に自然軽快し、心エコー上異常を認めなかった。 |
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悪性黒色腫の術後補助療法としてIFNβの局注療法が行われている。IFNβの副作用としては、発熱、肝機能障害、間質性肺炎、うつ状態などが知られているが、本症例のような心房細動の合併は稀である。IFNαの投与による心血管系の副作用はしばしば報告されているが、IFNβによる心血管系の副作用の報告はほとんどない。IFNβの投与中に動悸などの症状を認めた場合は、心房細動を含めた心血管系の副作用を念頭に置く必要がある。
- 著者(発表者)
- 上田有希子ほか
- 所属施設名
- 京都府立医科大学大学院医学研究科皮膚科学
- 表題(演題)
- インターフェロンβによる加療中に心房細動を生じた悪性黒色腫の1例
- 雑誌名(学会名)
- 第31回 日本皮膚悪性腫瘍学会学術大会 プログラム・抄録集 150 (2015)
第31回 日本皮膚悪性腫瘍学会学術大会 (2015.7.3-4)
監修者コメント