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タコシール®によるアナフィラキシーショック

2015年8月掲載

薬剤 タコシールその他の治療を主目的としない医薬品
副作用
概要 70歳代、男性。直腸癌、両側転移性肺腫瘍術後経過観察中、右転移性肺腫瘍を疑う結節影が出現し、手術を行った。開胸創を中心に再手術による広範な癒着を認めた。腫瘍摘出後に、剥離の際に生じた気瘻に対してタコシール®を使用した。貼付約20分後に血圧低下し、四肢、顔面の紅潮を認めた。エフェドリン、フェニレフリンの効果に乏しく、タコシール®によるアナフィラキシーショックと判断した。直ちにタコシール®を除去し、温生食で洗浄したところ、約5分後に血圧は回復した。

監修者コメント

タコシール®は、ヒトフィブリノゲン・ヒトトロンビン・ウマコラーゲンを含有するフィブリン接着剤であり、簡便かつ効果的に肺瘻を閉鎖することから呼吸器外科手術で汎用されている。本症例では、転移性肺腫瘍に対する腫瘍摘出後に、剥離の際に生じた気瘻に対してタコシール®を使用したところ、血圧が低下し、アナフィラキシーショックと診断された。タコシール®によるアナフィラキシーショックは稀であるが、手術中、本製剤の使用後に急激な血圧低下を認めた場合は、本製剤による副作用を考慮する必要がある。

著者(発表者)
井上卓哉ほか
所属施設名
埼玉県立がんセンター胸部外科ほか
表題(演題)
タコシール®が原因でアナフィラキシーショックをきたした一例
雑誌名(学会名)
日本呼吸器外科学会雑誌 29(4) 536-539 (2015.5)

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