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ジブカイン塩酸塩、フラジオマイシン硫酸塩(プロクトセディル®成分)による全身性接触皮膚炎

2015年8月掲載

薬剤 プロクトセディル泌尿生殖器官及び肛門用薬
ジブカイン塩酸塩
フラジオマイシン硫酸塩
ヒドロコルチゾン
エスクロシド
副作用 全身性接触皮膚炎
概要 55歳、女性。痔核に対してプロクトセディル®軟膏、リンデロン®VG軟膏を処方され使用を開始した。2日後に肛門周囲に瘙痒感を認め、3日後には顔面、頸部、四肢、体幹に瘙痒感を伴う小紅斑が出現した。近医皮膚科を受診し、軟膏の使用を中止したが、その後も紅斑が拡大したため、9日後に当科を受診した。ステロイドの内服と外用により紅斑は速やかに消褪した。パッチテストの結果よりジブカイン塩酸塩とフラジオマイシン硫酸塩による遅延型アレルギーであり、プロクトセディル®軟膏による全身性接触皮膚炎と診断した。

監修者コメント

本症例は、痔核に対しプロクトセディル®軟膏を使用し、全身性接触皮膚炎を発症した一例である。痔疾治療剤には、感作されやすい塩酸ジブカインや硫酸フラジオマイシンなどの薬剤が含まれていることが多い。すでに感作が成立した個体に同成分を含んだ痔疾治療剤を肛門に注入すると、経粘膜的に吸収され全身性接触皮膚炎を起こす可能性があり、注意が必要である。

著者(発表者)
小川晋司ほか
所属施設名
大阪市立大学大学院医学研究科皮膚病態学ほか
表題(演題)
痔疾用薬による全身性接触皮膚炎
雑誌名(学会名)
皮膚病診療 37(5) 495-498 (2015.5) 

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