アミオダロンによる末梢神経障害
2015年7月掲載
薬剤 | アミオダロン循環器官用剤 |
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副作用 | 末梢神経障害 |
概要 | 80歳、男性。大動脈弁狭窄症に対して大動脈弁置換術および冠動脈バイパス術が施行された。その後、多発性心室性期外収縮および非持続性心室頻拍(VT)による動悸症状が出現した。VTに対して除細動器植込み術を行い、アミオダロンを導入した。内服開始4ヵ月後頃から四肢末梢のしびれと巧緻運動障害、歩行困難を生じるようになったため、当院に入院した。急性発症、四肢遠位の感覚・運動障害があり、脱髄性の末梢神経障害が示唆されること、膠原病や悪性疾患を示唆する所見を認めないことから、アミオダロンによる末梢神経障害と診断し、アミオダロンの内服を中止した。再度VT stormとなったが、ランジオロールにより抑制することができ、ビソプロロールを順次漸増し、ランジオロールを漸減中止して、以後VTは抑制することができた。 |
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強力な抗不整脈薬であるアミオダロン(アンカロン®)は、主として致死性心室性不整脈や心不全または肥大型心筋症に伴う心房細動の治療薬として使用されている。本文献では、アミオダロンの内服開始後4ヶ月にて末梢神経障害を生じた症例を報告している。アミオダロンの神経毒性は内服量と相関があると報告されており、長期間の内服が神経毒性発症のリスク因子とされている。本症例は比較的短期間の内服であり、アミオダロンの血中濃度が有効域以下であったにもかかわらず、末梢神経障害を発症した稀な1例といえる。
- 著者(発表者)
- 文本朋子ほか
- 所属施設名
- 山口大学大学院医学系研究科器官病態内科学ほか
- 表題(演題)
- アミオダロンによる末梢神経障害が生じた1例
- 雑誌名(学会名)
- Progress in Medicine 35(S-1) 349-353 (2015.3)
第19回 アミオダロン研究会 (2014.9.13)
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