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アバタセプトによる潰瘍性大腸炎

2015年6月掲載

薬剤 アバタセプトその他の代謝性医薬品
副作用 潰瘍性大腸炎
概要 60歳、男性。関節リウマチと診断され、メトトレキサート(MTX)、プレドニゾロン(PSL)にて治療開始された。効果不十分のため生物学的製剤が導入されたが、投与時反応(インフリキシマブ)、2次無効(アダリマブ)、薬疹(トシリツマブ)のため各製剤は変更・中止となった。その後、MTX、PSLにアバタセプト(ABT)が追加された。1年後、1日10回以上の水様性下痢が出現し、著明な体重減少、低栄養状態が認められた。ABT、MTXが中止されたが、消化器症状は改善せず、下部消化管内視鏡検査にて全大腸型の潰瘍性大腸炎と診断された。メサラジン、顆粒球吸着療法に加え、PSLを併用し、消化器症状の改善を認めた。

監修者コメント

生物学的製剤であるアバタセプトは、T細胞の活性化を阻害することで炎症を抑制するため、関節リウマチの治療薬として用いられている。副作用として、敗血症や肺炎などの感染症が報告されているが、本症例のような潰瘍性大腸炎の合併は稀である。本薬剤の投与中に消化器症状が出現した際は消化管感染症のみならず、潰瘍性大腸炎の合併も考慮する必要がある。

著者(発表者)
山崎龍太郎ほか
所属施設名
獨協医科大学呼吸器アレルギー内科
表題(演題)
アバタセプトにて治療中に潰瘍性大腸炎を発症した関節リウマチの1例
雑誌名(学会名)
第59回 日本リウマチ学会総会・学術集会 プログラム・抄録集 632(2015)
第59回 日本リウマチ学会総会・学術集会 (2015.4.23-4.25)

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