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リゾチーム塩酸塩(新ルルA錠)による肝機能障害

2015年5月掲載

薬剤 リゾチーム塩酸塩一般用医薬品
副作用 肝機能障害
概要 14歳、女児。入院1ヵ月前から感冒薬新ルルA錠を10回程内服した。2週間前から掻痒と黄疸を認めた。入院時検査所見でT-Bil12.5mg/dL、AST/ALT 1218/1684IU/Lと肝機能障害を認めた。被疑薬を中止したが肝機能障害は進行し、入院7日目には肝不全への進展が懸念されるまで悪化した。入院13日目にステロイドパルス療法を施行したところ、良好な反応を示した。以後、ステロイドを漸減し、入院39日目に退院した。新ルルA錠の1成分であるリゾチーム塩酸塩のDLST陽性(537%)より、リゾチーム塩酸塩による肝機能障害と判断された。

監修者コメント

新ルルA錠は代表的な市販の総合感冒薬であり、小児から成人まで広く使用されている。本症例では、新ルルA錠の内服により重症肝障害を発症した14歳女児を報告している。DLSTの結果、新ルルA錠の一成分であるリゾチーム塩酸塩による薬物性肝障害と判断されている。頻度は少ないものの、市販の感冒薬でも重症肝障害を発症することがあり、黄疸や掻痒などの症状を認めた場合には迅速に診断・治療を行う必要がある。

著者(発表者)
田坂佳資ほか
所属施設名
西神戸医療センター小児科ほか
表題(演題)
市販の総合感冒薬内服後に重症肝機能障害を発症した一例
雑誌名(学会名)
日本小児科学会雑誌 119(2) 284 (2015.2)
第118回 日本小児科学会学術集会 (2015.4.17-4.19)

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