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バルプロ酸ナトリウムによる高アンモニア脳症

2015年5月掲載

薬剤 バルプロ酸ナトリウム中枢神経用薬
副作用 高アンモニア脳症
概要 22歳、男性。6歳発症のてんかんのため、フェノバルビタール(PB)、フェニトイン(PHT)で長期加療されていたが、PB減量中止を目標にバルプロ酸ナトリウム(VPA)が追加された。VPA開始後5日目に意識混濁が確認され、7日目に精査加療目的で入院した。肝機能障害を伴わない高アンモニア血症が認められ、VPA関連高アンモニア脳症と診断された。VPAを中止し、肝不全用アミノ酸製剤の点滴静注を開始した。血中アンモニア値は速やかに低下し、入院翌日には意識清明となり、入院4日後に後遺症なく退院した。

監修者コメント

VPAはてんかんおよび躁状態の治療薬として、また片頭痛の予防薬として広く使用されている。VPAの副作用として、高アンモニア血症が知られており、本症例のように他の抗てんかん薬にVPAを追加すると、血中アンモニアが著明に上昇し意識障害をきたすことが報告されている。頻度は少ないものの、VPAによる高アンモニア血症は、重篤な転帰を取ることもあり、早期の対応が重要である。特に他の抗てんかん薬との併用は、高アンモニア血症のリスクを高めるため、定期的にアンモニア値を測定するなど、細心の注意が必要である。

著者(発表者)
藤田光江ほか
所属施設名
筑波学園病院小児科ほか
表題(演題)
バルプロ酸追加により高アンモニア脳症を発症した1例
雑誌名(学会名)
小児科臨床 68(3) 355-359 (2015.3)
第35回 茨城てんかん懇話会 (2013.5.23)

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