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ロキソプロフェンによる尿細管間質性腎炎

2015年5月掲載

薬剤 ロキソプロフェン中枢神経用薬
副作用 尿細管間質性腎炎
概要 83歳、男性。右肩痛を自覚し、ロキソプロフェンをほぼ毎日服用していた。胃痛が出現したため当院外科を受診し、ロキソプロフェンが中止されPPIが処方された。その頃より午後になると発熱を認め、全身倦怠感、食欲不振がみられたため当科を受診した。各種検査所見にて高度の腎機能障害とともにβ2MGおよびNAGの尿中排泄が著明に増加しており、尿細管障害が示唆された。持続する発熱とCRP高値は尿細管間質性腎炎によるものと判断し、全ての薬剤を中止した。DLSTを実施したところロキソプロフェンのみ陽性であり、腎生検により尿細管および間質に高度の炎症細胞浸潤を認めたため、ロキソプロフェンによる尿細管間質性腎炎と診断した。以後、薬剤中止に伴い解熱を認め、全身状態、血液検査も改善したため、第18病日に退院となった。

監修者コメント

代表的なNSAIDsであるロキソプロフェン(ロキソニン®)は、消炎・鎮痛・解熱目的に広く使用されている。本症例はDLSTと腎生検により、ロキソプロフェンによる尿細管間質性腎炎と診断された一例である。NSAIDsは日常診療において頻用される薬剤であるが、プロスタグランジン合成の抑制による様々な症状を引き起こし、重篤な合併症として腎障害を生じることがある。特に本症例のように高齢者に対して長期間NSAIDsを投与する場合は、腎障害を含めた副作用に十分な注意を払う必要がある。

著者(発表者)
小幡史明ほか
所属施設名
徳島県立海部病院総合診療科ほか
表題(演題)
NSAIDs(loxoprofen)が原因と考えられた薬剤性尿細管間質性腎炎の1例
雑誌名(学会名)
内科 115(3) 491-495 (2015.3)

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