ミコフェノール酸モフェチルによる回腸多発潰瘍
2015年4月掲載
薬剤 | ミコフェノール酸モフェチルその他の代謝性医薬品 |
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副作用 | 回腸多発潰瘍 |
概要 | 54歳、男性。腎不全に対してABO不適合生体腎移植を受け、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)、タクロリムス、メチルプレドニゾロンの内服を行っていた。腹痛と下痢を繰り返すようになり、対症療法で改善なく、下部消化管内視鏡検査で回腸末端にベーチェット病様の大きな抜き打ち潰瘍、他にも中等度の大きさの潰瘍を認めた。当初CMV性腸炎と診断し、加療を行ったが症状の改善なく、潰瘍の著明な増悪を認めた。MMF関連腸炎を疑い、ミゾリビンに変更後腹部症状は消失し、CRPも陰性化した。2週間後の内視鏡検査で潰瘍は縮小し、症状の再燃なく経過している。 |
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免疫抑制剤であるミコフェノール酸モフェチル(MMF)は臓器移植後の拒絶反応の抑制に用いられている。MMFの副作用として下痢は良く知られているが、本症例のような多発性潰瘍の合併は比較的稀である。MMF内服中に腹痛や難治性下痢などを認めた際には、多発性潰瘍の可能性も考慮し、免疫抑制剤の変更などを検討する必要がある。
- 著者(発表者)
- 和田蔵人ほか
- 所属施設名
- 大分大学医学部付属病院消化器内科ほか
- 表題(演題)
- 免疫抑制剤内服中に回腸多発潰瘍を来し診断に苦慮した1例
- 雑誌名(学会名)
- 第308回 日本内科学会九州地方会 67(2015)
第308回 日本内科学会九州地方会 (2015.1.10)
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