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ソラフェニブによる横紋筋融解症

2015年4月掲載

薬剤 ソラフェニブ腫瘍用薬
副作用 横紋筋融解症
概要 73歳、男性。食道癌に対して食道亜全摘術を施行された。術後Follow upのCTで肝細胞癌(HCC)を指摘され、開胸開腹S7亜区域切除術を施行された。その後、HCC再発を認め、TACEを繰り返したが、TACE不応と判断した。B-TACEを行った後、ソラフェニブを開始した。内服開始10日後より全身倦怠感、発熱、前額部皮疹が出現し、全身に広がった。CK上昇(2670IU/L)も認めたため、ソラフェニブによる皮膚障害および横紋筋融解症と診断した。ソラフェニブ内服を中止し、抗アレルギー剤、ステロイド剤の投与により、皮疹の消褪、CK、尿ミオグロビンも徐々に低下し、ソラフェニブ中止14日後に退院した。

監修者コメント

複数のチロシンキナーゼ阻害作用を有する分子標的薬であるソラフェニブ(ネクサバール®)は切除不能な肝細胞癌などの治療薬として用いられている。ソラフェニブによる横紋筋融解症は添付文書にも記載があるが、頻度は少なくその機序も明らかではない。横紋筋融解症は発症後急速に進展し、急性腎不全から多臓器不全を併発し死に至る場合がある。ソラフェニブの投与開始後は適宜CK値を確認するなど、慎重に経過観察を行う必要がある。

著者(発表者)
田邉規和ほか
所属施設名
山口大学大学院医学系研究科消化器病態内科学ほか
表題(演題)
ソラフェニブにより横紋筋融解症をきたした1例
雑誌名(学会名)
第11回 日本肝がん分子標的治療研究会プログラム・抄録集 67(2015)
第11回 日本肝がん分子標的治療研究会 (2015.1.31)

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