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エルトロンボパグによる慢性骨髄性白血病

2015年4月掲載

薬剤 エルトロンボパグその他の代謝性医薬品
副作用 慢性骨髄性白血病
概要 77歳、男性。特発性血小板減少症(ITP)に対してエルトロンボパグの投与を開始した。1年後より顆粒球優位の白血球増多が出現していた。その後、幼若顆粒球を伴った更なる白血球増多、貧血、S状結腸腸間膜血腫を指摘され、入院となった。精査したところ、慢性骨髄性白血病(CML)と診断された。ダサチニブにより治療を開始したが、急性転化となったため、ニロチニブに変更した。その後、硬膜下血腫が指摘され、脳ヘルニアが進行し、永眠された。

監修者コメント

近年、ITPに対する新たな治療薬として、トロンボポエチン(TPO)受容体作動薬が注目されている。TPO受容体は多能性幹細胞やすべての血球の前駆細胞に発現しているため、TPO受容体作動薬の投与に伴うリスクとして急性白血病や骨髄線維症の発症が指摘されている。本報告では、TPO受容体作動薬であるエルトロンボパグ(レボレード®)がCMLの発症および増悪に関与した可能性を示唆している。TPO受容体作動薬の投与時には造血器腫瘍や骨髄線維症の発症に注意する必要がある。

著者(発表者)
服部英喜ほか
所属施設名
八尾市立病院血液内科ほか
表題(演題)
ITPに対するTPO受容体作動薬治療中に発症した慢性骨髄性白血病
雑誌名(学会名)
臨床血液 55(12) 2429-2432 (2014.12)

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