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テムシロリムスによる間質性肺炎

2015年3月掲載

薬剤 テムシロリムス腫瘍用薬
副作用 間質性肺炎
概要 49歳、男性。淡明細胞型腎細胞癌にて右腎摘除術施行。その後、肺転移、骨転移、肝転移と進行。アキシチニブ投与を経て、テムシロリムスにて加療中であった。労作時呼吸困難を認め、左肺にびまん性のすりガラス陰影を認めた。テムシロリムスによる薬剤性肺障害の疑いで気管支鏡検査を施行したところ、凝血を両側気管支内腔に認めた。凝血を吸引中、軽度の咳嗽を契機に気管、気管支に多量の粘膜出血が認められ、BALFにはリンパ球優位の上昇を認めた。テムシロリムスを中止し、プレドニゾロンによる加療を行ったところ、その後、気道粘膜出血は認められなかった。

監修者コメント

mTOR阻害薬であるテムシロリムス(トーリセル®)は切除不能または転移性の腎細胞癌の治療薬として使用されている。本症例では肺、骨、肝臓に転移のある腎細胞癌に対してテムシロリムスを投与中、間質性肺炎ならびに気管・気管支粘膜出血を発症した。テムシロリムスの投与による間質性肺炎については添付文書にも警告として記載されているが、気管・気管支粘膜出血についてはこれまでに報告がない。テムシロリムス投与中は薬剤性肺障害の合併に十分に注意する必要がある。

著者(発表者)
中島賢一朗ほか
所属施設名
鳥取大学医学部呼吸器・膠原病内科
表題(演題)
腎細胞癌に対してmTOR inhibitor投与中に間質性肺炎と気管・気管支粘膜出血を認めた一例
雑誌名(学会名)
第52回 日本呼吸器学会中国・四国地方会プログラム・抄録集 46(2014)
第52回 日本呼吸器学会中国・四国地方会 (2014.12.13)

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