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アジルサルタンによる汎血球減少症

2015年3月掲載

薬剤 アジルサルタン循環器官用剤
副作用 汎血球減少症
概要 67歳、男性。高血圧、慢性糸球体腎炎によるネフローゼ症候群のため加療中であった。腎性貧血に対してエリスロポエチン製剤を開始していたが、Cre7.13mg/dL、Hb5.4g/dLと腎機能、貧血の急速な悪化を認め入院。網赤血球0.4%でありダルベポエチンα投与、血液透析導入とした。鉄欠乏の所見はなかったが、WBC1800/μL、Plt6.6万/μLと汎血球減少を認めた。上下部消化管内視鏡で出血性病変はなく、骨髄穿刺では骨髄性疾患を示す所見は得られなかった。入院13日目にアジルサルタンを中止したところ、汎血球減少は改善し、血液透析導入後も要した赤血球輸血は中止することができた。

監修者コメント

アジルサルタン(アジルバ®)はアンギオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)の中でも高い降圧効果を示すことが報告されている。本症例はアジルサルタンによる汎血球減少が疑われたネフローゼ症候群の一例である。貧血の進行と透析導入に至る腎機能障害を同時期に認めたが、アジルサルタンの中止により改善している。ARBによる汎血球減少は報告されているが、アジルサルタンによるものはこれまでに報告がなく、特に腎機能低下例では注意が必要である。

著者(発表者)
上田有里子ほか
所属施設名
東京大学腎臓内分泌内科
表題(演題)
アジルサルタンによる汎血球減少を認めた慢性腎臓病G5A3の1例
雑誌名(学会名)
第611回 日本内科学会関東地方会 29(2014)
第611回 日本内科学会関東地方会 (2014.12.13)

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