FOLFIRINOX療法に含まれるフルオロウラシルによる高アンモニア脳症
2015年2月掲載
薬剤 | フルオロウラシル腫瘍用薬 |
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副作用 | 高アンモニア脳症 |
概要 | 70歳代、女性。膵頭部癌肝転移の診断でFOLFIRINOX療法(オキサリプラチン、レボホリナートカルシウム、イリノテカン、フルオロウラシル)を開始した。投与3日目の朝から頻回の嘔吐があり、夕方になり中等度の意識障害(JCSⅡ-20)が出現した。アンモニア値高値(491µg/dL)で、羽ばたき振戦もみられたことから、フルオロウラシルに起因する高アンモニア脳症と診断した。肝不全用分岐鎖アミノ酸注射液の点滴静注を行ったところアンモニア値は低下し、意識障害は回復した。 |
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FOLFIRINOX(FFX)療法とは、オキサリプラチン、レボホリナートカルシウム、イリノテカン、5-FUによる4剤併用療法であり、治癒切除不能な膵癌に対する治療法として2013年に承認されている。本症例では、膵頭部癌肝転移に対してFFX療法を施行したところ、意識障害をきたした。アンモニア値が高値であり、5-FUに起因する高アンモニア脳症と診断された。多剤併用療法であるFFX療法は、抗腫瘍効果を示す一方で、有害反応も重篤になる傾向があり、適切な患者選択とともに高アンモニア脳症を含む副作用管理が重要である。
- 著者(発表者)
- 山田育弘ほか
- 所属施設名
- 公益財団法人がん研究会有明病院消化器センター内科
- 表題(演題)
- FOLFIRINOX療法による高アンモニア脳症をきたした浸潤性膵管癌の1例
- 雑誌名(学会名)
- 日本消化器病学会雑誌 111(11) 2157-2162 (2014.11)
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