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ダサチニブによる肺動脈性肺高血圧症

2015年2月掲載

薬剤 ダサチニブ腫瘍用薬
副作用 肺動脈性肺高血圧症
概要 16歳、男児。14歳時にフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ芽球性白血病と診断され、同種臍帯血輸血を施行した。分子学的寛解を維持し、移植2ヵ月後からダサチニブ投与を開始した。約9ヵ月後に咳嗽、倦怠感が改善しないため受診。右呼吸音減弱、胸水貯留を認め、精査の結果、肺動脈性肺高血圧症(PAH)と診断した。ダサチニブを中止し、酸素、利尿剤、エンドセリン受容体拮抗薬、PGI2、ホスホジエステラーゼ5阻害薬投与により、約5ヵ月後には平均肺動脈圧は正常化した。

監修者コメント

ダサチニブはBCR-ABLを含む複数のチロシンキナーゼを阻害する分子標的治療薬である。ダサチニブの投与によるPAHの合併はこれまでにも報告があるが、本症例のように小児での発症は稀である。ダサチニブは高いチロシンキナーゼ阻害活性を有するが、本剤の投与中はPAHの合併に注意する必要がある。

著者(発表者)
岡田仁ほか
所属施設名
香川大学小児科ほか
表題(演題)
ダサチニブ投与中に肺動脈性肺高血圧症を合併したフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ芽球性白血病の一例
雑誌名(学会名)
日本小児血液・がん学会雑誌 51(4) 304 (2014.10)
第56回 日本小児血液・がん学会学術集会 (2014.11.28-30)

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