ゾレドロン酸水和物による大腿骨転子下骨折
2015年1月掲載
薬剤 | ゾレドロン酸水和物その他の代謝性医薬品 |
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副作用 | 大腿骨転子下骨折 |
概要 | 53歳、女性。乳癌術後転移性骨腫瘍に対してゾレドロン酸投与が開始された。その後、特に誘因なく両側大腿部痛が出現した。約1年後に転倒し、歩行不能となり当院救急搬送となった。左大腿骨転子下骨折の診断にて、骨接合術を施行した。退院後21日に散歩中突然、右大腿部に激痛が生じたため、再び当院搬送となった。左と同様の骨折を認め、ゾレドロン酸製剤による大腿骨非定型骨折を疑い手術を施行した。初回手術後10ヵ月の現在、左大腿骨外側の仮骨形成が不良であり、経過観察中である。 |
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ゾレドロン酸(ゾメタ®)は骨吸収を抑制することで、固形癌骨転移による骨病変などの治療に用いられている。本症例では乳癌の転移性骨腫瘍に対してゾレドロン酸を長期投与したところ、両側大腿骨転子下骨折を生じた。ゾレドロン酸は長期投与による副作用の懸念よりも骨関連事象の予防効果の方が重要であると考えられるが、大腿骨非定型骨折の発生について慎重に経過観察を行う必要がある。
- 著者(発表者)
- 江口英人ほか
- 所属施設名
- 大和市立病院整形外科
- 表題(演題)
- ゾレドロン酸の長期投与により生じた両側大腿骨転子下骨折の1例
- 雑誌名(学会名)
- 骨折 36(4) 937-940 (2014.9)
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