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ソラフェニブによる多発性有棘細胞癌

2013年1月掲載

薬剤 ソラフェニブ腫瘍用薬
副作用 多発性有棘細胞癌
概要 77歳、男性。右腎細胞癌の根治的腎摘出術施行、8年後の腎癌の多発転移にインターフェロンを再開したが効果が認められないためスニチニブを開始した。発熱、血球減少、皮疹等を認めたため減量し、計12コースを行ったが腫瘍増大したため中止、ソラフェニブ(ネクサバール)400mg/日投与に変更した。その後2ヵ月目頃から両前腕に掻痒を伴う淡紅色~淡褐色のドーム状結節の多発を見た。4ヵ所の皮膚生検でケラトアカントーマ型の有棘細胞癌(SCC)と診断した。ソラフェニブを中止後、皮疹は縮小し、2ヵ月で完全に消褪した。近年、分子標的薬の治療に伴う多彩な皮膚障害が報告されるが、早期診断と対応が必要であるので、ソラフェニブによるSCCの本邦第1例を報告した。

監修者コメント

キナーゼ阻害剤である本剤は、手足症候群をはじめとする皮膚毒性が知られているが、海外では有棘細胞癌の報告が散見されている。著者によれば本邦で一例目のSCCの報告であるが、今後本剤の普及により同様の報告が増加することも考えられる。

著者(発表者)
高塚純子ほか
所属施設名
新潟県立がんセンター皮膚科ほか
表題(演題)
ソラフェニブ投与中の患者に生じた多発性有棘細胞癌の1例
雑誌名(学会名)
日本皮膚科学会雑誌 122(7) 1773-1776 (2012.6)

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