炭酸ランタンの誤嚥による気管支異物
2012年11月掲載
薬剤 | 炭酸ランタン循環器官用剤 |
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副作用 | 気管支異物 |
概要 | 55歳、男性、糖尿病および糖尿病性腎症。1ヵ月前から咳嗽が持続、近医受診し胸部X線写真および胸部単純CT検査で右中間気管支幹に異物が認められたため当科受診。胸部X線写真にて、円形で高濃度を呈する物質1個を認め、胸腹骨盤部単純CTで右中間気管支幹に13×13×5mmの金属様物質を認めた。上行結腸、横行結腸にも1個ずつ同様の物質を認め、物質のCT値は何れも2,000HUと極めて高くアーチファクトを伴っていた。気管支内視鏡検査で異物が錠剤であることを確認し、鰐口鉗子では容易に崩れるためバスケット鉗子を用いて除去した。15ヵ月前から開始された炭酸ランタン水和物チュアブル錠の誤嚥による気管支異物と診断した。錠剤摘出後は咳嗽も消失し、紹介元外来で経過観察中である。十分なリン吸着能を発揮し、合併症リスクを減らすために、よく咀嚼してから嚥下する正しい服用方法を患者に説明する必要がある。 |
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高リン血症治療剤である本製剤について、PMDA「副作用が疑われる症例報告に関する情報」にも、本製剤の誤飲・誤嚥、咳嗽、体内異物、誤嚥に関係すると思われる消化管穿孔などの報告が多数なされており、一層の適切な服薬指導が求められる。チュアブル錠のほか分包顆粒製剤も発売されている。
- 著者(発表者)
- 入來豊久ほか
- 所属施設名
- 熊本地域医療センター呼吸器科
- 表題(演題)
- ボタン電池の誤嚥が疑われた炭酸ランタン水和物チュアブル錠による気管支異物の1例
- 雑誌名(学会名)
- 気管支学 34(4) 353-357 (2012)
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