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SSRI(パロキセチン)による心室細動ストーム

2012年11月掲載

薬剤 パロキセチン中枢神経用薬
副作用 心室細動ストーム
概要 22歳、男性、自宅歯磨き中に心肺停止となり近医で心室細動(Vf)から蘇生された。安静時心電図、家族歴からBrugada症候群を疑われて当院転院、その後埋め込み型徐細動器(ICD)埋め込みを実施、翌年、週2~3回ICDが作動し、その不安から抑うつ状態になった。精神科でSSRI(パロキセチン)10mgが処方され、20mgに増量されたところ1日あたり5回、9回、12回のICD作動を認め、いわゆる心室細動ストーム(VF storm)状態になった。患者はパロキセチンを自己中止し、当科再入院となった。被疑薬は既に中止されていたため経過を観察したところICD作動は速やかに減少し、時間的な経過からSSRIがVF storm発生に関与したと考えられた。

監修者コメント

選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は心血管系に与える影響が少なく、その有効性と安全性からうつ病治療の第一選択薬とされている。この報告はBrugada症候群にSSRIを投与してVFstormをきたした症例で、このような患者に使用する際は心電図のモニターや、投与の可否、投与量の慎重な検討が必要とされる。

著者(発表者)
四倉昭彦ほか
所属施設名
カレスサッポロ北光記念病院
表題(演題)
VF storm 発生に選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の関与が疑われた Brugada症候群の1症例
雑誌名(学会名)
心電図 32(S-1) (S1)88-(S1)91 (2012.2)
第9回 特発性心室細動研究会 (2011.2.12)

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