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メトクロプラミドによるジスキネジア

2012年11月掲載

薬剤 メトクロプラミド消化器官用薬
副作用 ジスキネジア/顎関節前方脱臼
概要 15歳、男性、習慣性扁桃炎のため、全身麻酔下に両側口蓋扁桃摘出術を施行した。術当夜から強い嘔気、不眠、不穏状態があり、術後2日目の朝までにメトクロプラミド(10mg)1Aを計5回、ハロペリドール(5mg)0.5Aを計2回、静注した。術後1日目夕方、口周囲の軽いゆがみを認め、術後2日目朝、閉口困難と舌不随意運動を認めた。緊急にCT撮影を行ったところ右顎関節の前方脱臼を確認した。メトクロプラミドの副作用を疑い直ちに投与を中止、脱臼を用手整復、数時間後再脱臼を整復した。術後3日目に過剰な筋緊張は緩和し、術後7日目固形物以外の経口摂取可能となり、その後経過良好につき退院、術後3ヵ月目に舌の不随意運動は完全に消失した。メトクロプラミドによるジスキネジアが術後の脱水、ハロペリドールの併用で助長されたと考えられた。メトクロプラミドの短期の使用で額関節脱臼をきたす程の錐体外路症状をきたした例は稀である。

監修者コメント

ブチロフェノン系薬剤が併用されたメトクロプラミドの短期間(1~2日)の投与により、顎関節脱臼をきたす程の強い錐体外路症状(ジスキネジア)が発現した稀な症例報告である。

著者(発表者)
大庭哲ほか
所属施設名
福岡歯科大学耳鼻咽喉科ほか
表題(演題)
顎関節脱臼で気付かれた薬剤性ジスキネジアの一例
雑誌名(学会名)
口腔・咽頭科 25(3) 318 (2012.8)
第25回 日本口腔・咽頭科学会総会 (2012.9.13-14)

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