セレコキシブによる薬剤性肝障害
2014年12月掲載
薬剤 | セレコキシブ中枢神経用薬 |
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副作用 | 薬剤性肝障害 |
概要 | 49歳、女性。全身性エリテマトーデスのため通院中であった。入院17日前より関節痛に対してセレコキシブを内服し始めたところ、著明な肝機能異常(AST1,935IU/L、ALT1,329IU/L、ALP553IU/L)が出現し入院となった。血清検査ではウイルス性肝炎を疑う所見は得られなかった。セレコキシブを中止し経過観察したところ、高度の肝機能異常は速やかに改善し、その後再燃することなく安定している。セレコキシブ以外の内服薬は数年来変更がなく、セレコキシブに対するリンパ球幼弱化試験は陽性であった。DDW-J2004ワークショップ薬物性肝障害診断基準ならびに臨床経過、肝生検の結果からセレコキシブによる薬物性肝障害と診断した。 |
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Cyclooxygenase-2(COX-2)選択的阻害薬であるセレコキシブ(セレコックス®)は、消化管保護作用を有するプロスタグランジンの生合成と関連するCOX-1を阻害しないことから、消化性潰瘍などの消化管粘膜障害の副作用が他のNSAIDsと比べて低いとされている。本症例では、全身性エリテマトーデスに伴う関節痛に対してセレコキシブの内服を開始したところ、薬剤性肝障害を発症した。セレコキシブによる薬剤性肝障害の頻度は他のNSAIDsと比べて高くないという報告もあるが、近年セレコキシブの使用頻度は増加しており、本症例のような肝機能障害にも注意を払う必要がある。
- 著者(発表者)
- 谷口英明ほか
- 所属施設名
- 鳥取市立病院内科ほか
- 表題(演題)
- Cyclooxygenase-2(COX-2)選択的阻害薬Celecoxibによる薬物性肝障害の1例
- 雑誌名(学会名)
- 肝臓 55(9) 537-543 (2014.9)
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