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ヒドロクロロチアジド配合降圧剤による光線過敏症

2012年11月掲載

薬剤 ヒドロクロロチアジド循環器官用剤
副作用 光線過敏症
概要 【症例1】55歳、女性、3ヵ月前より高血圧症に対してロサルタンカリウム(50mg)・ヒドロクロロチアジド(12.5mg)配合剤を、高脂血症に対してロスバスタチンカルシウムを内服していた。2週間前、花粉症にて近医を受診、ベポタスチンベシル塩酸塩内服、クロモグリク酸ナトリウム点眼使用後眼周囲の紅斑が出現、他院受診したところ点眼による接触皮膚炎が疑われ、クロベタゾン酪酸エステル軟膏を処方されるも症状改善なく当科受診した。露光部に一致する紅斑を認め、内服照射試験によりUVA領域で紅斑出現を見た。ヒドロクロロチアジドによる光線過敏症型薬疹を疑い配合薬をカンデサルタンに変更、アルクロメタゾンプロピオン酸エステル軟膏、ジフルプレドナート軟膏の外用とエピナスチン塩酸塩の内服、遮光指導により3週後に紅斑は消褪した。
【症例2】68歳、女性、高血圧に対してロサルタンカリウム・ヒドロクロロチアジド配合剤を内服、露光部に一致する頬部・耳介・頚部・項部に紅斑、手背・手関節伸側には紅色丘疹を認めた。内服照射試験でUVAに光線過敏を認めた。ヒドロクロロチアジド配合剤をロサルタンカリウムに変更し、ヒドロコルチゾン酪酸エステル軟膏・ジフルプレドナート軟膏の外用で紅斑、丘疹は改善した。
【症例3】78歳、女性、高血圧に対してバルサルタン・ヒドロクロロチアジド配合剤を内服、顔面・手背の紅斑を自覚、近医にてウフェナマート軟膏外用するも改善せず当科を受診、内服照射試験でUVA、UVBともに光線過敏を認めた。被疑配合剤を中止、クロベタゾン酪酸エステル軟膏、ベタメタゾン吉草酸エステル軟膏の外用とベポタスチンベシル酸の内服開始3ヵ月後に露光部の紅斑は改善した。

監修者コメント

著者要約に示されたように、チアジド系降圧利尿剤による光線過敏型薬疹は近年激減していたが、2009年の高血圧治療ガイドラインでのヒドロクロロチアジド配合降圧剤の推奨以降その処方頻度が増加し、これに伴い光線過敏症型薬疹の報告が増えている。ARBの特許切れに伴いARB(サルタン系)とヒドロクロロチアジドの配合薬が輩出し市場が拡大しているので、今後チアジド系の副作用に注意が必要である。

著者(発表者)
原嶋秀明ほか
所属施設名
埼玉医科大学総合医療センター皮膚科
表題(演題)
ヒドロクロロチアジド配合降圧剤による光線過敏症型薬疹の3例
雑誌名(学会名)
皮膚科の臨床 54(8) 1110-1114 (2012)

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