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ベプリジルによる薬剤性間質性肺炎

2014年12月掲載

薬剤 ベプリジル循環器官用剤
副作用 薬剤性間質性肺炎
概要 86歳、女性。僧帽弁閉鎖不全症に対して僧帽弁置換術を施行していた。発作性心房細動および心房粗動に対して、ベプリジルとメトプロロールの内服加療を施行後は発作が出現することもなく経過していた。メトプロロール開始3ヵ月後より労作時の息切れを認め、当院救急外来を受診した。低酸素血症と炎症反応の上昇、および胸部CTにて両側びまん性にスリガラス様陰影を認め、精査加療目的で入院となった。当初細菌性肺炎やうっ血性心不全を疑い加療を開始したが、症状は増悪し人工呼吸管理となった。薬剤性間質性肺炎を疑いベプリジルを中止したところ、呼吸状態、炎症反応ともに改善傾向を示した。さらにステロイドの投与によって、低酸素血症の著明な改善を認めた。一連の経過からベプリジルによる薬剤性間質性肺炎と考えられた。

監修者コメント

ベプリジル(ベプリコール®)はCaチャネル遮断作用に加え、Naチャネル遮断作用とKチャネル遮断作用を有する抗不整脈薬である。本症例では発作性心房細動および心房粗動に対して低用量(100 mg/日)のベプリジルの内服を開始したところ、約3ヶ月後に低酸素血症と炎症反応の上昇および両側性にびまん性のスリガラス様陰影を認め、ベプリジルによる薬剤性間質性肺炎と考えられた。ベプリジルによる間質性肺炎については、これまでにも報告があるが、本症例のように高齢者に対して低用量(100 mg/日)のベプリジルの内服で間質性肺炎を発症した例は稀である。ベプリジルの内服にて呼吸困難を訴える場合には、薬剤性間質性肺炎を鑑別にあげる必要がある。

著者(発表者)
齊藤暁人ほか
所属施設名
公立学校共済組合関東中央病院循環器内科
表題(演題)
ベプリジルが原因と考えられた薬剤性間質性肺炎の1例
雑誌名(学会名)
心臓 46(9) 1275-1281 (2014.9)

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