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ゾレドロン酸によるFanconi症候群

2014年12月掲載

薬剤 ゾレドロン酸その他の代謝性医薬品
副作用 Fanconi症候群
概要 60歳代、女性。S状結腸癌骨転移と診断され、mFOLFOX6+ベバシズマブを開始し、CRを得た。多発性骨転移を指摘されていたため、治療開始時からゾレドロン酸を投与していたが血清Kの軽度低下が出現し、電解質異常の進行を認めたため入院となった。入院時の検査所見では、電解質異常、低尿酸血症、β2MG高値、尿糖、アミノ酸尿を認め、代謝性アシドーシスを呈していた。電解質の吸収障害、尿異常所見からFanconi症候群と診断した。臨床経過からゾレドロン酸が原因と考えられた。ゾレドロン酸中止後、徐々に電解質は正常化し、尿所見も改善した。

監修者コメント

骨吸収抑制剤であるゾレドロン酸(ゾメタ®)は固形がんの骨転移による骨病変に対して使用されている。本症例では大腸がんの多発性骨転移に対してゾレドロン酸の投与を行ったところ、電解質の再吸収障害や尿異常所見などを認め、ゾレドロン酸による薬剤性のFanconi症候群と診断された。Fanconi症候群は近位尿細管における溶質の再吸収が全般性に障害される疾患であり、様々な尿異常、電解質異常などを呈する。薬剤性のFanconi症候群の原因薬剤としては、バルプロ酸や抗腫瘍薬などの報告が散見されるが、ゾレドロン酸によるFanconi症候群は稀であり、興味深い一例である。

著者(発表者)
岡川泰ほか
所属施設名
札幌医科大学腫瘍・血液内科
表題(演題)
多発性骨転移を有する大腸癌加療中に発症したFanconi症候群の1例
雑誌名(学会名)
第94回 北海道医学大会消化器病・消化器内視鏡合同分科会 (第115回 日本消化器病学会北海道支部例会、第109回 日本消化器内視鏡学会北海道支部例会)プログラム・抄録 63 (2014)
第94回 北海道医学大会(2014) 北海道医学大会消化器病・消化器内視鏡合同分科会、第115回 日本消化器病学会北海道支部例会、第109回 日本消化器内視鏡学会北海道支部例会 (2014.9.6-7)

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